受験生の皆さまお疲れ様 2011年度、センター試験も無事終了したということで、今回の問題についてレビューを行っていくことにしましょう。 1日目のレビューは昨日の日記の内容と同じです。 現代社会 難易度…平年並み 前年比…やや易化 予想平均点…60点 自己得点…84点 *講評* 昨年は重箱の隅をつつくような問題が多く、受験知識を超え『常識』を体得していなかった受験生にとっては手堅い問題であり、実際多くの受験生が点数を頭打ちにする結果となった。一方、今年は大きくバランスを崩すことなく安定した出題がほとんどだった。多くの問題が参考書、教科書で学ぶことのできる典型題であり、受験常識を超えた、いわゆる「一般常識」からの出題はほぼなかったと思われる。そういう意味では着々と対策を講じた受験生と、常識力で勝負した受験生の間には若干、難易の感覚に異が生じたことであろう。来年以降はセンター試験の形式が変わるため、『現代社会』という科目が今年で幕を閉じるわけであるが、この安定した傾向は次の『倫理・政治経済』という科目にも踏襲してもらいたいものである。 国語 難易度…毎年ムズイ 前年比…しらん 予想平均点…110点 自己得点…?点 *講評* 国語はむりでちゅ。じぇんじぇんわかりません。途中で妥協してしまいました(*_*)。来年も再来年も、そしてそれ以降も以後やらないでしょうw 要はいっつもムズイです、はい。 英語 難易度…やや易 前年比…やや易 予想平均点…129点 自己得点…182点 *講評* 一言で言うと、問題が悪い。それは悪問が多いというわけではなく、レベルのバランスの配分が悪い、ということに尽きる。今回、英語の試験全体という意味では難易度はやさしくなったと言って良いが、一部、重箱の隅をつつくような難問が散りばめられており、その知識の要求レベルがどれほどなのか全く持ってわからない。 具体的には解答番号13、15、23や発音問題等である。 特に23における in for 〜;〜に加わる 等の成句は(自分はたまたま知っていたのだが)そう滅多に使われるものではなく、正直言うと並べ替え問題として要求するには余りに酷というもの。 もう少し具体的に見ていく。 大問1 予想どうり、形式に若干の変化が見られた。日本人が苦手とする「あ」「お」の発音の見分けなど典型例ではあるが、少し難しいと感じた。例年の「発音という名の読解問題」は消え、単純な発音問題のみ残す形となったが、来年以降復活する可能性は大幅にある。 大問2 長期間にわたって変化していない文法問題、今年も変化はなかった。ただ、上でも述べたように重箱の隅をつつくような「知識問題」がある一方で中学生でも応えられるような問題を含むなど、首をかしげたくなる部位もあった。 大問3 A…2007年度から始まった語句の意味の推測問題である。文章量も若干少なくなったように見えるほか、レベルもかなり優しい。迷う選択肢は余りなかった。 B…議論の要約を簡単にさせる問題であり、ここも変化はなかった。若干読みとりづらい文章を含むものの、選択肢、および主張があまりに単純なためにレベルはやさしい。もう少し内容にひねりを入れ、工夫してほしかった。かつて論理問題と言われた時代からしてみれば遥かに優しいと言って良い。 C…文章を挿入する形式の問題。ここも変化はなし。比較的素直な問題であり、平年並みといえる。 大問4 A…グラフ読み取り問題は形式が変わる前の時代にもあったものである。グラフ読み取り問題の醍醐味とは、与えられた情報を整理し、推理していくいわばパズルとしてのにあったはずなのだが、ひねりも工夫も一切なし。おまけに全体の内容を鑑みて解答する問題が常識で答えることができてしまうというおまけ付き。この問題を作成した人間には英語教育に携わるプライドがあるのだろうか?と疑ってしまいたくなるくらい単純な問題である。ここも芸がないと言わざるを得ない。 B…広告の読み取り問題。このパートは毎年、一見簡単そうなのであるが、意外な落とし穴があることも多いので慎重にならねばならない問題でもある。せっかく数字を散りばめているのだから、計算させたり面白みがあっても良かったのではないか?と初めは思ったが、それもある意味「典型」になりつつあるのも事実。敢えてカーブをかけてきたのだろう。それにしてもこの問題、インターネットとか料金とかツールの用い方があまりにワンパターン。たとえば大学入試の要項にしたりするとか、自然科学のパンフレットを用いたりするとか、切り口を変えてみたりすればもっと良いと思うのだが…いかがなものだろうか? 大問5 センターの問題の中で毎年最も難易度が高いと思われる部位である。会話文を基調とする内容に変わると踏んでいたのだが外れた。家族の(むっちゃどーでもいい)買い物に関して立場を変えて述べた問題。今年のセンター試験で唯一良かったと思う問題である。特に41番はなかなか秀逸。1と4の選択肢のどちらかを最終判断するのに二人の会話の両方の情報が必要になってくるからだ。わざわざ二人の立場から述べているのだからそういった問題が無くてはこういった形式をとる意味が無い。文章は平易なものが多いが、若干の思考をようするという点ではやや難しかったかもしれない。 大問6 ネズミの仲間(正確にはゲッシ類というらしく、あくまでネズミはその一部ということらしい)のお話。なぜ地球上でネズミがこれほどまでに繁殖しているか、ということを自然科学の立場から考察、説明している。ただ、この問題、ダーウィンの進化論について知識のある「生物選択」と「非生物選択」では明らかに読解の難易度が変わってくる。これも「常識」といったらそれまでだが、万人が受験するセンター試験でこれほどまでに偏った内容を出典するのはいかがなものだろうか。というのも、文章全体として、『非常に』構文が簡単なのであるが、唯一(5)の段落のみ入り組んでいて難しい。そして、その(5)こそダーウィンの進化論の説明に他ならないのだ。そういう意味で非常にバランスのわるい出題である。選択肢も単純なものばかりで面白みが一切ないと言って良い。「センターの大問6は名作しか持ってこない」と一時期言われたものだが、そのころが懐かしくなってくるほどだ。要するに、情けないのである。 まとめ 上でも述べたように難易度の設定の仕方が不適切。「バランス」の4文字を常に意識して出題してほしい。上記にあげた理由から、140点程度をとるのは非常に容易である一方、180以上など高得点を取るとなると、かなり難しい試験だったと言える。平均点は上がるであろうが、学力が高い人ほど「難しかった」という感想をもったであろう。 数学T・A 難易度…平年並み 前年比…易化 予想平均点…59点 自己得点…100点 *講評* 昨年の異常なまでのレベル上昇から、今年度易化するのはほぼ確実だったため、その程度がどれほどのものになるかということが実質的な問題であった。予想ではそれほど大幅な易化は見せないと予想していたのだが、その結果のほどは当たらずとも遠からず、といったところであろう。要するに近年の平均よりはわずかに難、平均点は60を少し切るかという所である。比較的難問が集中しやすい「集合論理」の分野の暴走は無かったし、ピンポイントでレベルを上げてくる期待値の問題もそれほど強烈ではなかった。おそらく受験生がつかえたとすれば第三問の図形問題であろう。BCの辺が直径であることに気がつかないとエラく手間取ってしまう。ここでつまずいてしまった者はかなりいたようだ。全体として、「計算を上手く行う」ことで処理を減らすことができる問題が目立った。2Bに比べれば時間の余裕がある1Aではあるが、こうした工夫をすることでさらに確実な得点が期待できたであろう。 数学U・B 難易度…やや易 前年比…やや難化 予想平均点…55点 自己得点…100点 *講評* そもそもU・Bは平均点がかなり低迷しがちな科目であるが、昨年度は一変し、無理のない出題であった。実際、昨年度の平均点は57点であったが、これは、「T・AとU・Bどちらか高い方の得点のみを用いる学校」を受験する人の結果も含んでいるため、きちんと対策をしている受験生の平均点はかなり高かったと推測される。そういった意味で、今回の予想平均点である55点は例年のレベルから比べればかなり易しいと言って良い。大問ごとの構成は全く変化なし。せっかくなので大問ごとに見ていく。 T (1)三角関数…センターではかなりの典型題である。ひねりも無く素直であった。 (2)指数対数関数…対数をパラメータで置き換え、処理するというのはもはや鉄板。だが、今回はそれを不等式に絡め、自然数の大小を比較するという所まで応用する問題があった。多くの受験生はここで戸惑ったようである。 U 微分積分 毎年、異常なまでにキツイ計算を強いられるこのパートだったが、今回はかなり甘めであり、処理量はかなり少なかったと言える。計算すべき目的も方法もかなり単純であり、丁寧に図を書けば間違えることはなかったであろう。また、V・Cを知っているとかなり有利に働く問題が出たのだが、これはセンター側の配慮であろう。 V 数列 数直線状のx座標を数列に対応させる、というセンターでは真新しい出題だった。本質的には全く難しくないのだが、一見複雑そうに映る問題であったため、2次対策をあまりしていない受験生には難しく感じたかもしれない。ただパターンを当てはめて解く、というスタイルではこの問題を得点するのは困難を極めただろう。後半は青チャートにも記載されている典型題に他ならなかったが、いかんせん計算がややこしいので、思ったように得点は出来なかったかもしれない。 W ベクトル どの問題も教科書をきちんとこなしていれば対策できるレベルであったが、後半、基底ベクトルの内積を計算する際、余弦定理を用いるという工夫が要る問題があった。それでも難しすぎるということはなく、標準レベルであるといっていい。 化学 難易度…平年並み 前年比…易化 予想平均点…61点 自己得点…82点 *講評* まさかの大失点(汗)だったがそれほど難しいというわけではない。(単に知識が抜けているだけ)何故だが良く分からないが「誤っているものを選べ」という出題がほとんどで「適切なものを選べ」という聴き方はほとんどなかった。出題者はあまのじゃくなのだろうか?問題全般として素直なものが多かったが、塩素酸イオンやミョウバンの組成を問うたり、金の溶解について聞くなど、あまり意味のない知識要求問題もあった。まぁそれでも悪問というほどのことではないし、許容範囲内であろう。ただ、知識面で難しくするなら、もう少し骨のある計算問題、解析的な内容を含む出題をしても良いのではないか、と思ってしまう。また、ファラデー定数を絡めた問題が一問も出題されなかったのは久しぶりではないだろうか? 物理 難易度…平年並み 前年比…やや易化 予想平均点…63点 自己得点…100点 *講評* 物理は「机上の空論」の物語であり、出来る人のみが手を出せばよい「科学者のみの世界」という立場を取る人も少なくはないが、今回はそういった、いわば「お堅い」捉え方をする人に述べる、アンチテーゼともとれる出題だった。(無理にw)日常生活に物理の知識を絡め出題しているように感じられたのだ。しかしながら、そういった感覚に訴える一方で、今年度の物理の出題の裏に根付いているのは「感覚で物理を解く」ことへの警告でもある。「きちんと論理をもって解にたどりついている」人にとっては何ら問題なく解決できるのに、なんとなく、曖昧に答えを追求しようとすると忽ち罠にハマる、そんな風に問題が作られているのだ。極度の難問はないものの、丁寧にとかねば失点してしまう問題がほとんどであり、決して簡単とは言えなかった。 おわり |