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茂木健一郎『ひらめき脳』

2009,4,11


茂木健一郎の本『ひらめき脳』を読んだ。彼は、ひらめきは脳の空白から生まれ、その時ひらめきに要する時間は現実の時間軸とは異なる、と語っている。脳の空白とはあらゆる情報が入り込む余地があるということ。脳は常に情報(記憶のみならず知覚されたものなど)を処理したがりで、場合によっては編集を自発的に行っている・・だから、そうした脳の働きを抑え空白を作ることでひらめきが生じやすくなる。なるほど、確かにぼーっとしているときこそなにかインスピレーションみたいなものが舞い込んでくる経験はある。風呂でのんびりしているときに解けなかった問題の糸口が見つかったこともあるし。あと時間の問題についてもだいぶ納得できる。数学の問題が解けなくてあれこれ2日ほどねばっていたあの時、なにが起きたのだろう、くりいむなんとかを見ていたのにもかかわらず急に答えまでの道が完成したこともあった。感じたのは0.5秒にも満たないわずかな時間。だが、レポートとしてそれを書き記すのにはB5で5枚程度のものだから、やはり時間のずれがあると言わざるをえまい。たとえるなら電気回路の断線が一瞬でつながったようなと述べるのが良いだろうか。自分なりの意見だが、この時間のずれは記憶の掘り起こしに要する時間が現実に起きた時間より短いが故に起きるものであるはずだ。1日の記憶を思い出すのに1日を要しない。脳は、あらゆる情報から核となる存在を抽出することで記憶を整理し、他の情報と関連をもたせているのだろう。だからみかけ上ひらめきの現れる速度がとてつもなく大きく見えるのだ。言い換えれば、ひらめきが生まれるためにはそのひらめきを完成させるために必要な、記憶という前提が必要で、その記憶の生成にはひらめきに要する時間の何倍もの時間を要するということである。



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